本研究は、地域(中小)大学において有効に機能する産学公連携システムとそのビジネスモデル、マネジメントモデルを開発することを目的として行なった。その研究成果については本研究の「研究成果報告書」あるいは拙著「地域大学と産学官連携マネジメント〜産学官連携システムとビジネスモデルに関する調査・研究」(大分大学VBL、2007年)で明らかにしているが、以下、簡単にその概略を述べる。 産学公(官)連携は、システム(リエゾン-IPマネジメント-トランスファー-インキュベーションの各機能を包括したもの)としてのみ機能するものであり、インプットとアウトプットを明確にしたビジネスモデルを構築しマネジメントされてこそ最も効果的で効率的なものとなるということである。したがって、経営資源に乏しい地域大学の場合、コンパクトなかたちで機能するシステムが構築される必要があるしそれを担うに適した少数の「多能」専門人材によって機動的に運営されるマネジメント手法が必要とされるということである。また、ビジネスモデルに関していえば、インプットとアウトプットが効果的であることが求められるということである。ただ、産学公連携マネジメントはマネージャー人材の能力とスキルに依存する要素が大きいためプロフェッショナル人材の確保・育成が最大の課題となる。欧米と日本の産学官連携のパフォーマンスにおける彼我の差は、大学の研究開発のあり方の問題もあるが、そうした人材の質量の違いが大きな要因となっている。したがって、産学公連携システムおよびマネジメントはマネージャー人材の育成プログラムを組み込んだものでなければ実際的ではない。以上が本研究で明らかにしたことである。
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