研究概要 |
1.理論研究 (1)国際ビジネス研究の理論的系譜と,近年の新興経済,移行経済を対象とした国際ビジネス研究の成果をレビューした。そのうえで,ダニングの折衷モデルに修正を加え,移行経済ビジネスの新たな分析視角を示した。 (2)社会主義経済システムの全体像を示し,体制転換に伴い,変わったこと,変わっていないことを明らかにし,政策担当者,企業経営者へのインプリケーションを抽出した。制度資本と関係資本の構築の課題を議論し,サービスセクターの育成の重要性を指摘した。 2.個人ローンと金融システムの現状 購入すべきものがないために,貯蓄を強要された社会主義経済から消費社会へと急激な変化を遂げるロシア社会の現状と課題を,金融システムと個人ローンビジネスの到達点を明らかにすることによって示した。 3.フィールド調査(聞き取り調査とアンケート調査) (1)モスクワ地区では,2回にわたり,延べ32の企業や機関で聞き取り調査を実施し,ロシアのビジネス環境に対する評価とロシアビジネスへの取り組み・ビジネス戦略についての聞き取り調査を実施した。また,日系進出企業約100社に対するアンケート調査を実施し,市場参入戦略とロシア市場の評価の関連性を明らかにすべく,検討中である。 (2)ベルギーでは,ロシアおよび中東欧において,特徴的な事業展開を行なう,日系企業2社に対して,詳細なインタビュー調査を行なった。内容を精査のうえ,事例として取り上げる予定である。 (3)関西地区に本社を有する,日系企業に対して,ロシアビジネスの取り組み,ロシア市場の評価についての詳細なインタビューを実施した。事例として取り上げる予定である。
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