研究課題/領域番号 |
17530293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 札幌大学 |
研究代表者 |
小山 修 札幌大学, 経営学部, 教授 (80162080)
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研究分担者 |
明 泰淑 札幌大学, 経営学部, 教授 (70305879)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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キーワード | グローバリゼーション / 企業福祉 / 日本型経営モデル / 日本型人事労務管理 / 日本型成果主義 / 北欧型福祉国家モデル / 中国型人事労務管理 / 韓国型人事労務管理 |
研究概要 |
本研究では、標記のテーマについて究明するため、以下の研究を行った。第1に国内の企業福祉の現状を知るために「企業福利厚生の新たな展開に関する調査」を行った。第2には、国内企業の本社、経営者団体を訪問し、1990年代半ば以降の人事労務管理の動向と企業福祉の現状をヒアリングした。第3には、グローバル化の名の下に日本企業が海外進出している進出先における人事労務管理と企業福祉の実情をヒアリング調査した。主要対象国は中国、韓国、フランス、スウェーデン、フィンランドである。本研究の課題である企業福祉の国際比較という点については、アンケート調査、ヒアリング調査を通して以下の特徴が把握できた。第1に、日本国内では、90年代半ば以降、人事労務管理システムが能力主義・成果主義に急速に傾いたが、企業内福利厚生については、あまり急激なスリム化が行われていないことである。それは、企業福祉の目的として、「勤労意欲の維持・向上」、「従業員の生活安定」と幅広くその理念が捉えられ、また「労働力の維持・活性化」や「社会的責任を果たす」と、広く社会的機能の充実を企業は意識している。第2に、東アジアでは韓国が日本に近似した企業福祉体系をもつのに対して、中国では資本主義化が急速に進んだが、劣悪な労働条件から2002年以降漸く「4金、5金」と呼ばれる企業福利施策が、労働法制の強制の下に実施されている発展途上段階である。これに対して西欧、北欧では解雇権が厳しく制限されており、日本よりも長い終身雇用が存在し、一般的な企業福祉も充実している。国際比較の観点からは、日本企業の福利厚生は高く評価される一方で、人事労務管理システムの変化により雇用の流動化が進み、日本社会の「格差社会」化という新しい現象が生じてきている。この点をさらに全体的に人事労務管理システムと企業福祉との総合で究明することが本研究の最終目標である。この報告では、アンケート調査とヒアリング調査とで得られた実情を中心に報告する。
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