研究第2年次である本年度は、昨年度に収集したドイツ語文献及び邦文文献の分析と整理に当たった。つづいて、メイル等の手段により、ドイツにおける職業観意識開発教育の実態について、ドイツの学校教育段階でのプログラムの内容を分析、検討した。また、学校教育段階を修了した後の段階、つまり高等教育段階での職業観意識開発教育と高等教育に進まない「職業コース」選択者にたいする「職業技術訓練制度・デュアルシステム」についての分析を行った。そこでは、学校教育段階での職業観意識開発教育が、大学進学と職業コース選択上大きな役割を果たしていること、さらに、職業意識開発上、学校教育段階で再三行われる「実習授業」「企業実習」が極めて大きな機能を負っていることが明らかとなった。 こうした文献研究の蓄積とメイルなどの手段による情報収集によって得られた知見を元に、2007年2月中旬にドイツ・ブレーメン市における実地調査を行った。調査対象機関は、ドイツ連邦職業情報センター、ブレーメン大学職業教育研究所、ブレーメン市内職業学校(リューベカンプ職業学校、アルゲマイネ職業学校、金属関連職業学校)、普通教育中等学校等である。これらの研究内容は、学術論文として、「ドイツにおける学校教育-就業移行過程とキャリア教育-日本との比較を踏まえて-」桜美林大学『産業研究所年報』第25号所収、2007年3月に報告した。また、本年度に実施したドイツ現地調査の詳細「ドイツのNEET防止対策断片」は、産業研究所『産研サロン』第68号に掲載した。
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