本研究の目的は、シンガポール、タイ、中国、ベトナムにおける公共職業教育制度の発展と現状についてと、現地企業と当該国に進出した日系支社の企業教育訓練と能力開発の方式と実態について、(1)家庭電器産業、(2)ビール産業、(3)デパート産業から、各国とも2社程度を選び、調査票に基づきインタビューを実施し、その結果から、タイ、中国、ベトナムでは、企業活動の発展水準が異なるので、たとえば、タイの方式が、中国企業、ベトナム企業に役立ちうるかなどの点について検討する。すなわち、教育訓練の実態についての国際比較を行い、企業実践に寄与する提案を行うことであった。 昨年度は、ベトナムで、ベトナム系企業10社、日系企業2社を調査しアンケートを回収し、さらに中国、重慶市で中国系企業5社からアンケートを回収した。今年度は、タイ、バンコックで、タイ系企業4社、日系企業2社からアンケート回収した。 バンコックでは、職業専門高校(5年生)2校、重慶では、労働訓練大学(高校+2年)を訪問し、東アジアでは、企業内訓練を充実するのではなく、公共職業訓練制度の充実を、国家機関が行う傾向が強いことが分かった。 7月には、『基礎と応用で学ぶ経営学』(文眞堂、2006年、7月、250+VIV頁)を発行したが、雇用問題を取り扱った第10章と第11章、さらに国際経営と異文化を扱った第13章で、本研究の結果をわずかながら、反映させた。 調査対象会社の選択は、困難に直面し、上記計画にある、(1)家庭電器産業、(2)ビール産業、(3)デパート産業から、各国とも2社程度を選び、調査することは、ほとんど不可能になっている。しかし、公共職業教育訓練制度に関しては、現在、中国、タイ、ベトナムの3カ国比較が可能となっているので、本研究は、その面での学術的に貢献しうると、確信している。
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