研究課題
基盤研究(C)
半導体産業の民間企業へ定量調査を行った結果、研究開発エンジニアのキャリアは、マネジメント面ではオーガナイズ志向と事業化志向に分類でき、技術面ではリサーチ志向とエンジニアリング志向に分類できた。オーガナイズ志向は研究開発の成果をあげるために、チーム内外の人材と知識を最大限に活用して組織に貢献しようとするものであり、事業化志向とは、他部署や顧客との交渉を行うことによって事業化を成功させようとするものである。それぞれの志向性の関係を調べると、オーガナイズ志向とリサーチ志向、事業化志向とエンジニアリング志向というキャリア志向性のミックスが確認できた。さらに、これら志向性とパフォーマンスの相関を調べた。技術パフォーマンスは、定量:的指標として論文、国際学会発表、特許、報告書の数を、定性的指標として個人の貢献認識の程度を測定し、マネジメントパフォーマンスは、定性的指標である個人の貢献認識の程度で測定した。その結果は、技術面の志向性の高低よりも、マネジメント面の志向性の高低が、両方のパフォーマンスに影響を与えていることがわかった。マネジメント面の志向性が低いと、たとえ、技術面の志向性が高くてもパフォーマンスは低くなるのである。また、外部との人的ネットワークが広いほど、パフォーマンスは高くなることが確認できた。これらの結果を踏まえると、マネジメントへの意識や経験を高めていく教育や制度を充実させることが、研究開発の成否の鍵を握ることが予想できる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
赤門マネジメント・レビュー 5巻12号
ページ: 729-743
Akamon Management Review Vol.5,No.12