研究概要 |
1,中小・零細企業が「信頼財」を形成する上での地域環境の違いについて 東大阪市と比較するために、愛知県三河地域の刈谷市の中心市街地を調査した。東大阪市などでは、各駅前に商店街通りがあり、通りの裏では居酒屋などがある。こうした地域は、仕事の終わる6時過ぎくらいから中小企業経営者の情報交換の「場」などになっている。JR刈谷駅前、名鉄新刈谷駅の商店街地域は空き店舗がかなりでており、東大阪市のような駅前商店街において、中小・零細企業の経営者が交流する「場」がほとんどない。 刈谷駅の中心市街地では中小・零細企業の経営者が気楽に交流する「場」がほとんどない。商店街地域が衰退し、人々がいきいきと交流する空間が形成されてないである。自動車産業を中心とする西三河地域は、ものづくりは盛んに行われているが、まちづくりには問題があり、「信頼財」を構築するための社会的資本である空間配置等が十分に形成されていない。 2,生産品目の違いと横型ネットワーク 刈谷市地域の中小・零細企業の多くは、輸送用機器関連の部品を生産し、固定的な種類の部品を生産している。エンジン関連部品を生産していた企業は、基本的には同じ部品を生産する。機械設備、ラインは単一同一部品の生産に向けられるのである。この部品生産は自動車のフルモデルチェンジまで安定的に供給されるのである。そして、中小・零細企業の感心は単一同一部品のコスト削減に向けられ、新しい取引とか新製品開発などにはあまり感心をもたない。他方、東大阪市の中小・零細企業の多くは、多種多様な業界(電気、機械、金属など)の多品種少量生産が多くあり、注文を受けた製品生産期間は非常に短く、長期的固定的な生産体制ではない。生産の見通しが安定的でないために、自社製品、新製品開発の感心が高くなっている。
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