成果の具体的な内容 申請した研究は3年間のプロジェクトであった。企業労働の国内文献の整理・分析、日本国内の研究者へのインタビューを介して理論構築を行った。国際的にも研究を展開し、企業労働研究の新しい領域を開拓すると同時に、新しい理論の構築を試みた。具体的には、日本を中心とした方法論の検討と基礎資料の収集、主要研究者へのインタビュー(方法論の吟味・検討)、アジアの企業労働研究の展開のための、国際研究集会の開催、アジアを中心とした基礎資料の収集、アジアの主要研究者へのインタビュー、企業関係者へのインタビュー、労働組合へのインタビューなどを行った。その結果、3つの主要な論文を完成し、学会で報告した。単行本として出版予定の主要な成果は現在執筆中である。 成果の意義・重要性 日本とアジアの日系企業の労働者を対象に社会科学的視点から労働を分析・検討し、企業労働研究の復活と新しい視点・理論の構築を狙っている。そのための方法論として、労働と資本の関係を'統合'と'対立・矛盾'の過程とみなし、更に、日本とアジアの資本主義発展の過程を両者の有機的な'統合'・'対立・矛盾'の過程と見なす関係性のダイナミズムに、その方法論的独創性を打ち出した。予想される学問的成果は、グローバル化の下での労働実態を日本とアジアにおいて解明し、管理論的視点を超えた労働に関する新しい理論を構築したことである。その学問的意義は、労働研究を社会科学の領域における重要なテーマとして復活・再生させ、それに新しい意味を付与したことである。
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