研究課題/領域番号 |
17530315
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
出水 力 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (20330136)
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研究分担者 |
林田 治男 大阪産業大学, 経済学部, 教授 (40189676)
渡邊 輝幸 大阪産業大学, 経営学部, 講師 (60388353)
高橋 泰隆 玉川大学, 経営学部, 教授 (70137751)
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キーワード | 技術経営 / アジア / 二輪産業 / オートバイ |
研究概要 |
中国の天津、上海、広州の各市の販売店を巡り調査した。実態として、中国資本100%の企業はほぼコピーメーカーと考えられ、そのコピーバイクのベースはホンダのCG125である。コピーにコピーが続く中で、若干のバリエーションが見られ、その中から派生モデルが出てきて、販売価格が日系の中国製バイクの半値以下で売られている。日系のバイク生産は、利益が出ない構造となっている。日系バイクの技術移転に問題を移すと、バイクとしての日本車の品質基準を満たしつつも、現地で手に入る安い材料と安い設備機械、安い人件費を使い、大量生産することで、生産コストを引き下げるため、日本のモデルを投入しながらも、現地適合型に設計変更が加えられていた。(新大洲ホンダの見学とヒアリング、ホンダ中国二輪研究所のヒアリング) ベトナムでは、2年前まで中国のコピーバイクが市場に流入し、オリジナルなベトナム製の日本バイクが売れない事態に対処するためベトナム・ホンダは中国バイクを分解し、個々の部品を徹底的に調べ、品質に問題ない中国製部品企業を、サプライヤーに加える戦略に転じ、およそ26点の部品が輸入されている。また、日系の部品企業より安いベトナムの部品企業を育成しながら購入することで、廉価なホンダブランドのウェーブαなる商品を市場に投入し、中国製バイクの駆逐に成功した。まだ中国製のやみコピー部品が入荷しているのは事実で、中国製の組立バイクメーカーを見たが、組立コンベアを備えながら、部品の精度が悪いためラインを止め、ハンマーで部品を叩き込んでいる場景を見た。(ベトナム・ホンダと関連サプライヤー、ベトナム・スズキや現地企業などの見学とヒアリング) 台湾はアジアでは韓国と並び日本に次ぐ工業国だけに、バイク生産ではアジア・EU市場で日本製品のライバルになっている。台湾のメーカーでは、光陽、三陽(この2社はホンダの合弁でスタートしたが、今は資本関係にない)日系のヤマハで市場90%を占め、スズキの生産台数は低い。ホンダが合弁生産から撤退した背景は、まだ詳しく調べきれていないが、台湾側の経営者が自社開発の技術力を身に付けだし、ホンダに頼っていた新機種の投入を自社で出来る様になったことが大きいようだ。これによりホンダの二輪のグローバル展開と、ベクトルが合わなくなり、ホンダも二輪自体の利益率より四輪に力を入れる道を選択し、二輪生産から資本を引き上げたのである。一時的に台湾で利益を得たが、最終的には技術を与えたライバルを育成した結果となっている。(台湾・ヤマハと関連サプライヤーなどの見学とヒアリングによる)
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