研究課題/領域番号 |
17530315
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
出水 力 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (20330136)
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研究分担者 |
高橋 泰隆 玉川大学, 経営学部, 経営学部 (70137751)
林田 治男 大阪産業大学, 経営学部, 教授 (40189676)
渡邉 輝幸 大阪産業大学, 経営学部, 講師 (60388353)
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キーワード | 二輪 / アジア / ホンダ / ヤマハ / 技術移転 |
研究概要 |
7月に広州の五羊本田摩托有限公司の新工場と、江門市蓬江区を中心とした大長江集団や江門市の管轄下の二輪の共同開発センターを調査した。その傍らジェトロの広州事務所を訪ね関連の資料を収集した。12月に上海の松江区にある本田摩托研究開発有限公司と、試作に協力する関連の下請け企業も訪問した。また、無錫にあるジェイテクトのベアリング工場の現地化の状況を合わせて調査する機会を得た。 年が明けて3月にインドネシア、ベトナム、タイの二輪産業を調査するためホンダ、ヤマハの現地工場、研究開発の現地研究所から二輪生産の実態と、現地化への取り組みを調べた。そして日系の一次サプライヤーはもちろん現地のローカル企業の二次、三次サプライヤーを訪ね技術移転が、どのように行われてきたのかを工場見学とヒアリング通して、かなり明らかにすることが出来た。 アセアンにおける二輪の組立産業は原則として、投資割合は日系50%、現地資本が50%で運営されるので、今のところ日系がローカル資本に対して、技術力の関与の面から有利に働いており、税制面の対策からCKD、SKD、IKDなど様々な手法が完成車生産に至るまで実施されている。また、日系部品企業も進出国の法令に従い、合弁、独資などこれまた様々であるが、ほとんどが経営のマジョリティを取らねば、日本側の意思を込めた生産ができないことが明らかなようだ。そのため日本から高度な技術を移転する場合、既に現地で合弁していても、新たに日本側の出資100%の子会社を発足させ、そこで自社のノウハウを囲い込み、外に流出しない戦略を取る企業もあった。最新の技術を如何に保持して競争優位を築かねば成らないのか、現地生産の難しさを理解できた。 日系企業と現地企業との合弁は、あくまで合弁相手に対して、日系が技術的に優位性がある時には合弁生産が継続されるが、イノベーションが止まるか、技術の出し惜しみをした段階で、合弁生産から撤退せねばならない。それらのことを考慮してアジアにおける二輪生産は、まだ日系企業が優位であることは間違いない。
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