研究課題/領域番号 |
17530318
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
竹村 正明 明治大学, 商学部, 助教授 (30252381)
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研究分担者 |
弘中 史子 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (10293812)
王 怡人 流通科学大学, 商学部, 助教授 (20290538)
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キーワード | ベンチャー企業 / マーケティング / 成長 / イノベーション |
研究概要 |
平成18年度は主に、ベンチャー企業におけるマーケティング活動の実態調査を行った。この際、中小企業と、いわゆるマスメディアで使われるベンチャー企業とを区別することが重要である。中小企業とは、典型的には東大阪市や東京都大田区に集積するタイプの企業群を意味する。他方、ベンチャー企業とは、野心的な企業家によって創業された会社を指す。われわれの調査が明らかにしたところによれば、中小企業では営業部(あるいはマーケティング部)があまり重視されず、ベンチャー企業ではそれこそが経営の中心的な役割を担っていることである。これは、われわれの当初の理論的仮説と異なって、非常に理論を発展させる可能性のある事実であった。 われわれが当初、参照していた理論はアメリカのトップジャーナルの知見であった。そこでは、ベンチャー企業はユニークな技術力をベースに創業し、そして急速に成長していく。ところが、こういうタイプの企業はわが国ではむしろ伝統的な中小企業によくあてはまり、ベンチャー企業はそもそもマーケティングの技術で成長しているパターンが多いようである。 この発見は、中小企業政策やナショナル・イノベーションシステムの設計問題で、非常に重要な知見になるだろうとわれわれは考えている。というのは、アメリカ型のイノベーションシステムの制度設計を行った場合、それは日本のベンチャー企業を育成する政策というよりも、従来の中小企業に適切な政策になるかもしれないからである。 これらの成果の一部は、9月にIndustrial Marketing and Purchasing Conferenceと3月のInternational Conference on Business Marketing Managementでそれぞれ発表を行った。
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