研究課題
1.貨物航空会社の提携による規模の経済と範囲の経済に関する分析本研究は、インテグレーター化する航空会社が、従来型の航空会社に対し、垂直的差別化行動をとると仮定し、そのための投資が、航空会社の利潤にどのように影響するかを経済理論モデル化した。その上で、モデルの現実妥当性を部分的に実証した。理論モデルによると、垂直的差別化を行う航空会社は出来るだけ支出を抑えながら差別化のための投資をする。実証分析では、費用関数を推定することにより、近年高度なサービスを提供するインテグレーターが費用削減行動をとっていることが実証された。2.国内便・国際便提携による乗り継ぎ利便性の要因分析次に、国内線を経由して海外に出国しようとする旅客に対してアンケート調査を行い、国内線運航航空会社と国際線運航航空会社が提携して、乗り継ぎの接続の利便性を図ろうとする場合に、どのようなスケジューリングを行えば旅客の利便性が向上するのかを統計的に計測したとともに、利便性の判断基準となる旅客の時間価値をビジネス旅客と旅行客とについてそれぞれ算出した。ビジネス旅客にとっては、時間が有効に活用されないという理由から、早めに到着する場合に利便性が低いということが判明した。従って、旅客サービス向上のためには、国内線運航航空会社と国際線運航航空会社が密に提携することが必要であるとした。3.非提携・独立系航空会社の市場行動と市場成果一方で、他社と提携を行わない独立系の航空会社の参入行動に関し、それらの行動論理を経済モデル化した上で、独立的行動がどのような国民経済的効果を与えるかを検証した。財務的基盤が安定した航空会社は高需要・高運賃路線に参入し、既存企業も低運賃設定行動を継続することが判明した。この場合には、消費者の利益が箸しく向上する。他方、財務的基盤が弱い航空会社の場合には、逆に消費者の利益が損なわれることが判明した。
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