平成19年度の研究では、日本の消費者の地域的特質の違いがより明確となった。小売業においては、品揃えの違いはもとより福岡地区ではよりマニュアルに即した顧客対応がとられる傾向が強く、また沖縄地区では地域の文化や伝統に強く影響されるなどの違いが見られた。また同じ地域の小売業でも、全国チェーンの小売業ではよりマニュアル化され、地域の小売業ではマニュアル化の程度が低くより地域性が強くみられるようである。また、日系小売企業の海外進出動向では中国等のアジアへの関心は高いが、欧米などへは一部小売業が試験的に進出するのみで低調な傾向は以前変わらない。総じていえば、成長性が見込まれる市場への関心が高く、そうでない地域への進出は限定的ないしは抑制的なのであるが、成長性の見込まれる地域でどのようなローカリゼーション戦略か必要が検討しなければならない。また大きな成長が見込まれない地域でも、欧州国では日本以上の所得水準の国々もあり、そこでの市場展開や成功のための方途についても考察しなければならないとおもわれた。そして、スウェーデン最大のグローバル小売企業のIKEAの日本市場での展開動向に関する追跡調査では、日本市場に適応していない部分がいくつかみられ、若年者や若年夫婦世帯などが主たる市場とみられ、今後様々な課題が浮かび上がってきた。やはりグローバリゼーションのためにはローカリゼーションが必要と思われた。次年度には、IKEAの日本市場での展開の方向について結論と提案をまとめる。
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