今回の調査報告によって、今まで暗黙の理解のもとにあった日本の広告取引の実態が明らかにされた。 (1)「広告会社の報酬を広告主が知り得ないのは不透明=悪である。したがって、広告主は広告会社に原価開示要請をする。」 (2)「透明性の点では、フィー制の方が優れている.欧米では、フィー制が国際標準になっている。」 (4)「社内で広告費にっいての説明責任を求められる。」 (5)「広告主は広告会社を競争させ、アイデアをどんどん出してもらいたい。」 (6)「米国では広告会社に適正利益与えるルールだからこそ、収益構造はオープンに (7)「パートナー・エージェンシーとして、一定期間扱いを保証する。」 (8)「米国ではアカウントの移動に伴い、雇用を調整可能.だからこそ、フィー取引も成立しやすい。」 (9)「日本の広告会社はコストとリスクを自ら負う。(日本の広告主は、コストとリスクを広告会社に負わせたい。)」 (10)「日本の広告主は、短期的に広告会社を競わせる。」 (11)「日本では、メディア扱いを前提に、広告会社がAE作業をサービスとして提供して来た。」 (12)「日本では、労働市揚における人材の流動性がまだ低い。(扱いを失っても、スタッフを解雇できない)」 (13)「歴史的に見れば、広告主と広告会社が協力して、媒体社、メディアの発展に貢献してきたという側面もある。」 (14)「媒体手数料は契約により、媒体社が広告会社に支払う。一広告主に手数料を開示することは守秘義務違反となる」 (15)「日本では、媒体社との交渉に多大な努力が必要」 (16)「業務の範囲とプロセスを、予め決めた通りに進めることが難しい。」 (17)「サービスの切り売りによってコミュニケーションの統合効果が損なわれる。」 (19)「議論すべきは、透明性ではなく、アカウンタビリティではないか」 (21)「唯一絶対の報酬制度は存在しない。広告主ごと、取引ごとの最適がある。」 (22)「フィー制の導入には、広告主、広告会社、双方の納得性と借頼性が基本となる。」 今回の結果から、アングロ・サクソン型合理性をベースにした欧米型広告取引と組織間取引の不条理を内包して合理性を求める日本型を単純に比較することの難しさが明らかになった。
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