研究概要 |
小売業態の国際移転の伴う業態変容のメカニズムのモデル化を目指すため,その予備的考察として,社会学の普及論および経営学の組織学習論を援用しながら,小売業態の国際移転に伴う変容過程のモデル化について検討した。 まず,社会学の革新普及に関する既存研究を探り,革新の普及とそれに伴う変更を取り上げた研究を検討し,小売業態の変容への応用可能性を検討した。革新普及に関して検討対象となったのは,E.M.Rogersの一連の革新普及研究と,革新の国際移転に伴う変容を検討している異文化屈折論である。Rogersの研究のうち,組織の革新獲得に焦点を当てたモデルをレビューした。つぎに,社会的な変容過程に焦点を当てている異文化屈折理論をレビューした。両研究のレビューは,集計水準において,組織水準と国家社会水準双方を考慮することにつながる。小売業態変容は国家社会水準で捉えられるべき現象ではあるが,その変容の操作は個別の小売業者によってなされるのである。 既存研究のレビューの後,試論的に,小売業態の社会的変容過程とそれに影響を与える要因について整理した。また組織学習論を援用しながら,小売業者の小売業態に関する知識の獲得とその変容操作の過程もモデル化した。そのモデルはマネジメント過程に合致することを考慮した。 本研究は基本的に文献研究であるため,作業としては,関連図書の渉猟のほか,日本および海外の関連学術雑誌の渉猟を行った。 なお,以上の研究結果を論文にまとめ,学会誌『経営行動研究年報』に投稿した。平成18年度発行号に掲載の予定である。
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