研究概要 |
本研究の目的は,小売業態の国際移転に伴い,提供側原初の当該小売業態が受入国における移転・普及の過程で変容するメカニズムについて明確化することにある。本年度は,平成17年度,18年度に検討した概念モデルを分析枠組みとしながら,日本におけるスーパーマーケットの変容の歴史的事例を整理した。 まず,経営史や経済史における小売業に関する既存研究を参照しながら,アメリカから日本へのスーパーマーケットの移転についてまとめた。そこでは,アメリカにおけるスーパーマーケットの生起および日本におけるスーパーマーケットの生起を検討し,これらの対比を試みた。さらに,移転されたスーパーマーケットが日本において発展し,さらに総合スーパーが生まれた経緯について,各種資料を参照しながら整理した。そこでは,主にダイエーの事例を取り上げ,スーパーマーケットの品揃え総合化,店舗郊外化,高級化の過程とそれに影響を与えた要因を検討した。つぎに,総合スーパー化が一例となる小売業態の変容を,小売業者による環境適応としての変容操作,複合した変容操作の普及という2段階に分けて検討した。変容操作の普及には,経営学における制度的同型化の議論を当てはめることを検討した。
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