本年度は松下電器産業のグローバル・マーケティング戦略について、分析しとりまとめた。本研究で明らかにしたことは、松下電器にのグローバル・マーケティングの概念である。松下電器産業に於けるグローバル・マーケティングとは、国境を越えて地球規模で同時発売する国際マーケティングの一形態である。松下電器産業が同社の主力製品である薄型テレビプラズマを中心に世界同時発売を最初にしたのは、欧州、米国、日本で2005年春であった。続いて2006年春には中国を加え、世界シェアNO.1を目指し世界同時発売を実行した。2005年には、薄型テレビでは日本で62.3%、欧州では20.0%の成果を得ている。世界同時発売を成功させるための条件として、基幹半導体の開発、キーデバイスの世界共通化、パネルの生産と輸送体制、現地での組み立て生産、物流体制の構築、販売店の協力・援助、大がかりな宣伝・広告などが必要である。 さらに注目すべきことは、従来のナショナルブランドとパナソニックブランドを、パナソニック・ブランドに統一することによって、グローバル競争における優位性の実現を目指している。同時に、グローバル・マーケティングのコアーとなる同時発売を確実にするため現地の子会社の権限と責任を強化するグローバル組織体制の改革を実施している。 ソニーとシャープのアメリカを対象としたグローバル・マーケティング戦略については収集したデーターの整理と分析を中心に行った。
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