研究概要 |
平成18年度前半には,広告効果に及ぼすコンテンツ情報の影響とその情報処理過程を解明するための実験を行った。第1実験では,17年度前半の内容分析で取り上げた中から代表的なTV広告をいくつか選択し,その広告におけるコンテンツ情報の効果を評価システムによって測定した。その結果,商品評価は,広告出演者の好感度,広告の評価を媒介変数としていた。また,おもしろさの認知,受け手の気分などの媒介変数の影響は小さかった。この結果を基に,因果モデルの作成を行った。モデルの基本構成要素とその影響過程は,広告のコンテンツ情報→情報の理解→出演者の好感度→広告の評価→商品評価である。これらの結果は,平成18年度日本グループダイナミックス学会と日本社会心理学会で発表した。第2実験では,17年度後半に作成したコンテンツ情報を実験刺激として,実験を行った。多数のTV広告の中から広告の情報を収集し,そのコンテンツを操作することにより,より直接的に広告のコンテンツと広告効果との因果関係を検討した。ここでは特に受け手の認知過程でコンテンツ情報がどのように処理されているかを調べ,それらの過程がその後の受け手の態度・行動にどのような影響を与えるかを検討した。 平成18年度後半には,実験で得られた結果を基に,販売促進を目的とした効果的な擬似広告の作成を行った。平成17年度,平成18年度前半の研究で得られた知見より,消費者に効果的な擬似広告の作成をビデオカメラと映像編集用パソコンで行った。その後,大学と連携し,実際の若者を対象として,コンテンツ情報の広告効果についての実践的研究を進めた。この研究では,擬似広告刺激をノートパソコンで提示し,フィールドリサーチを行った。分析の結果,視聴者は商品の名称や機能についてはあまり記憶しておらず,広告の中の出演タレント,音楽,繰り返しのフレーズなどを記憶していた。また,広告から得られた情報に暖味なイメージを持って商品評価を行っていた。
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