研究概要 |
本研究は,広告メッセージ中のどのようなコンテンツ(内容)情報が受け手の購買行動に影響を与えるかを検討するとともに,それらの情報が個人内でどのように処理されているかを解明することを目的とした。まず,既存のテレビ広告を用いて基礎的な調査研究を2つ実施した。その結果,日本の広告のいくつかの特徴が明らかとなった。まず,広告に出演タレントの好感度の影響力が広告商品の評価に大きな影響を与える。次に,広告を見た視聴者の気分,特に肯定的気分の影響力が大きい。次に,広告効果に及ぼすコンテンツ情報の影響過程では,視聴者は広告メッセージの中の説明的内容にはあまり注意を払っておらず,映像から商品のイメージを形成していた。また広告により肯定的な気分を引き起こされると,メッセージはヒューリステックな処理を受けていた。さらに,広告メッセージは,受け手の気分や広告の評価を媒介して,購買意欲に影響を与えていた。 研究期間の後半に,広告効果の理論の構築を目指した応用研究を3つ実施した。まず,広告の効率性の測定方法を開発し,階層グラフによる評価システムを構築した。その後,効果的な広告を作成するために,新聞・雑誌・ラジオ・テレビというマス4媒体に対して行われた広告キャンペーンの実際のデータを使って確率的フロンティアをDEA(Data Envelopment Analysis)で算出し,それに予算制約を課することによってマス4媒体の予算制約下の最適な配分モデルを提案した。この試みはこれからの広告研究に新しい視点を加えるものであり,研究に新しい方向性を与えるものである。
|