研究課題
日本型流通の特徴を生み出す構造要因の一つの大きなものが御売業の構造特性である。この卸売業が長い間流通経路上でチャネル・リーダーとして流通経路を構築・管理・統制してきた。その実行力は、取引関係におけるパワー関係に集約される。垂直的に、個別の取引が継起的段階として連環していって、はじめて流通経路は形成される。その意味では、取引関係の中に取引当事者間のパワー関係は埋め込まれることになる。本研究ではこの取引関係に着目し、そこにおけるパワー関係を機関・制度体自身が有する暖簾の影響という観点から考察することを目指した。しかしながら、研究上の「暖簾」概念へのアクセスにおいて、その定義付けの曖昧さやブランドとの混同、そして知的財産としての認識不足などの諸問題がまだまだ残されており、本研究においては、先ずは基礎的な流通の構造分析、そして日本型流通の特徴として代表的な卸売流通構造の分析を、学説史的に行った。そこでは卸売業固有の説明枠組の開発は、考察対象である卸売業の複雑性の故に、研究の蓄積が少なく、また記述的な研究と流通・商業にまで広げた説明枠組みの展開が見られたことが指摘されている。その上で、近年の流通を取り巻く環境変化に着目し、本来環境適応的である流通業者の業態変化そして遂行機能の変化について、環境的特定的なものと、そうではない固有なものとの区別が試みられている。本質的には、流通業・商業の役割はかわらないものの、ITなどに代表される技術革新、経済のグローバル化、そして消費の多様化・複雑化という大きな環境変化のもとヤは流通業・商業の果たす役割も変質することが示されている。さらには、一つの事例として地域商店街組織の役割変質についても、現代的視点から考察が加えられたのである。
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大阪の商店街60年の軌跡 : 大阪市商店会総連盟創立60周年記念誌(大阪市経済局, 大阪市商店会総連盟)
ページ: 160-167
マーケティングの進化と革新(西村順二, 石垣智徳編著)(同文舘) (未定)