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2005 年度 実績報告書

日本企業における裁量的会計行動の実証分析

研究課題

研究課題/領域番号 17530338
研究機関阪南大学

研究代表者

岡部 孝好  阪南大学, 経営情報学部, 教授 (60067676)

キーワード裁量的会計行動 / 収益数値制御 / 利益数値制御 / 会計不正 / 機会主義的会計行動 / ビジネス・スタイル / 収益認識 / 契約コスト
研究概要

市場の競争圧力が急増してくるとともに、市場に公表する会計数値を歪曲する裁量行動が世界的規模において拡がっており、詐欺的会計報告として強い批判にさらされているところである。本研究プロジェクトはこうした裁量的会計行動を取り上げ、(1)売上高を嵩上げする収益数値制御行動と(2)株主利益を嵩上げする利益数値制御とに分けて、それぞれの成り立ちを実証的に解き明かそうとしている。最新の契約コスト理論を援用によって、この実証分析のフレームワークを確立したのが、本研究の第1の実績である。
売上高の計上にあたっては、会計規制によって販売基準の画一的適用が強制されているが、アメリカのIT企業などでは、この会計ルールの抜け穴を潜って、収益数値を意図的に膨らませる裁量行動が採用されがちであった。その主要な手法となったグロスドアップ、早期収益認識、ソフト販売取引、バーター取引などを詳細に分析したうえで、日本企業における収益認識にどのような問題があるのかを具体的に明らかにしたのが、第2の研究実績である。
第3に、本研究では、日本のビジネス・スタイルに光があてられており、日本の取引慣行との関連において収益数値制御行動と利益数値制御行動が緻密に分析されている。日本には古くより「消化仕入れ」といわれる取引手法が拡がっているが、これは実質的には受託販売に相当する取引を通常の仕入取引のように装うものである。また日本における企業間取引には返品条項が含まれていることが多いし、事後調整によって取引価額がしばしば変更されるのも日本の取引の特徴の1つをなしている。最適リスク分担という点で、これらの日本的取引は合理性をもたないわけではないが、国際的な取引ルールには違背しており、いずれは新しいグローバルな手法に切り替えざるをえないものである。収益認識という視点からこれらの日本的取引の特徴を究明し、将来における収益認識のあり方を示しているのも、この研究の重要な成果である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 日本のビジネス再生と会計数値のコントロール機能2005

    • 著者名/発表者名
      岡部孝好
    • 雑誌名

      会計(森山書店) 167巻4号

      ページ: 1-22

  • [雑誌論文] 裁量行動としての売上高のグロスドアップ2005

    • 著者名/発表者名
      岡部孝好
    • 雑誌名

      国民経済雑誌(神戸大学) 191巻6号

      ページ: 37-50

  • [雑誌論文] 日本企業のビジネス・スタイルとその収益認識2005

    • 著者名/発表者名
      岡部孝好
    • 雑誌名

      企業会計(中央経済社) 57巻11号

      ページ: 4-10

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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