研究課題/領域番号 |
17530351
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
柴 健次 関西大学, 会計研究科, 教授 (40154231)
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研究分担者 |
福浦 幾巳 西南学院大学, 商学部, 教授 (00149791)
工藤 栄一郎 熊本学園大学, 商学部, 教授 (30225156)
坂上 学 大阪市立大学大学院, 経営学研究科, 准教授 (50264792)
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キーワード | 会計 / 複式簿記 / 表示志向 / XBRL / 簿記会計教育 / 一覽性簿記 / 教材開発 / 簿記検定 |
研究概要 |
最終年度の課題は「表示志向は会計実務と会計教育を変質させるか」である。ここに「表示志向」とは「仮想的現実を強いられる一般的傾向」と定義する。そのような「表示志向」の強い社会を「モニター社会」と呼んでも良い。そして「モニターから現実を知る<見る>」ことには熱心だが、「五感を通して現実を知る<感じ取る>」ことには不熱心なのが現代社会である。 そこで我々の課題を別言すると、「モニター社会」の功罪を踏まえて、会計実務と会計教育の変質を解明することになる。そのための「罪」を避け「功」を求める具体的事例は、エクセルとCEAS(関西大学の教育支援システム)に見出しうる。すなわち、エクセルではブラックボックス化した情報処理過程を「見える化」できる。CEASでは教師と学生の双方向のやり取りを「見える化」できる。こうした内容を具体的に実践した。 電子化は情報処理過程をブラックボックス化したが、その中でXBRLを位置づけることとした。ブラックスボックス化された情報処理過程の象徴である会計ソフトの開発者も情報表示ツールの象徴であるXBRLの普及者もともにブラックボックス化以前の実務に影響されることを確認した。このことから「表示志向」になる理由が「見えるものが現実である」ととらえる現代人の特性に求められることを確認した。 以上を踏まえると、本研究は、計画当初より幅広い対象を研究することになり、初年度、2年度に取り掛かった研究はすべて一つの観点から考察されることが明らかになった。要するに、人間が自身で開発してきた仮想の現実(テレビやコンピュターのことのみを指すわけでなく、多様な社会制度すなわち法律、会計、監査等を含む)とその歴史的変化を踏まえて、社会問題や教育問題を解明できることが分かってきた。それを象徴的に「モニター社会」と称し、我々は係る社会に中の多面的な問題を同じ視点から論じてきた。それは本年の業績に示したとおりである。
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