当該研究は、四半期決算を導入することによる時価会計情報の適時性向上を検証するものである。四半期決算導入により3ヶ月毎の時価会計情報が開示されることとなり、特に評価額の変動が激しい有価証券等の時価情報提供においては、年1回もしくは半期毎の時価情報提供よりも情報開示の適時性が向上すると考えられる。年1回もしくは半期毎の時価情報提供に比して、四半期決算導入による3ヶ月毎の時価情報提供が情報開示の適時性を向上させることを検証する。 この研究を実施するにあたり、わが国よりも早期の段階で四半期決算を導入したシンガポールおよびタイランドの企業を検証の対象とした。またわが国の企業との比較可能性も考慮し、昨年と同様にシンガポール・タイランドでの事業展開を経験している日系企業の現地法人へ協力を依頼した。昨年度と同様に小売業を営む日系企業2社より協力を受けた。1社は日系企業の中でも最も早くシンガポールへの進出を行った企業であり、シンガポール取引所(SGX)への上場も果たしている企業である。もう1社も古くからシンガポールで小売業を展開している企業であり、シンガポール取引所へは、未上場ながらも現地での事業展開には歴史があり、現地の会計処理にも精通している企業ということから協力を受けた。 シンガポール取引所への上場を果たしている企業より、2005年度(1月〜12月)の財務諸表の提供、および有価証券の時価会計情報を検証する基礎データとして保有有価証券情報の提供を受けた。同様に2006年度(1月〜12月)の財務諸表、保有有価証券情報の提供を受けた。また2006年度における現地株主総会の動向も調査することができ、少数株主組織であるSIAS(Securities Investors Association Singapore)などの動向を把握することもできた。
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