本年度は我が国と似た大陸法の影響を受けているオランダとフランス両国における政府会計の改革がどのように進展しているかについて調査分析を行った。まず、オランダについては全政府部門について当初導入予定であった発生主義は省庁内部のエージェンシーに限定され、また、予算への発生主義化は見送られたことが明らかにされた。これは、財務省及び議会における現金主義による予算続制を維持したいという意思が優先されたためである。 一方、フランスでは発生主義を全攻府部門に導入するとともに予算書の体系を目的別・プログラム別に組み替えるとともにプログラム責任を巌格にする代わりに執の弾力性を与え、効率的かつ効果的な行政を目指している。この改革は予算基本法の改定を要したが、行政経済財政省の管理目的以外に議会の統制改善という視点もある点が注目きれる。アングロサクソンの会計基凖調和化に一時は反対していたフランスは、いまや国際公会計基準審議会の主要メンバーとして積極的に参加するようになっているのは象徴的である。もっとも、発生主義化への抵抗が少なかったのはプランコンタブルという国民繕済計算と一体化した会計基準の存在が大きかったといえる。 こうした大陸法の国での改革を踏まえわが国での取り組み、とりわけ議会側の意識について既に発生主義を適用した東京都の都議会議員に対するアンケート結果を分析し、意思決定への情報源として重要なものの地域住民からの直接的な要望・意向が最も影響力があることがわかり、両者を硲がに有効に活用するかが改革の鍵になることを明らかにした。この結果は、第11回CIGAR(ポルトガル)及び日本会計研究学会で報告した。
|