今年度は計画に従って本格的なインタビュー・資料収集を続けたが、フィールドワークには部分的な遅れも生じた。これは研究代表者の健康上の不安が原因であり、回復を待って集中的にとりくむことを余儀なくされたためである。現在、不安はほぼ除去されているので、遅れながらも研究は進展している。 すなわち、1)北海道東部の酪農地帯については、農家の学習・交流活動と、新たな営農志向の形成について、いっそう詳しく追加的な現地調査を実行することができた。が、しかし、2)山形県庄内地方の集落営農については、一昨年に機関調査とインフォーマント聴取をおこなったあと、冒頭の理由から時機を逸したため、進展させることができなかった。また、3)北海道北空知地方については再エントリーすることができなかった。ただし、4)質的分析法や研究倫理の具体的展開については、大きな進展があった。つまり、最新の知見について研究を進めていたところ、世界的にも今日的なスタンダードと見なされる辞書Dictionary of Qualitative Inquiryの邦訳・出版計画に参加することができた。 現在のところ、1)については著書の執筆をめざした資料整理やデータ解析、4)については具体的な翻訳作業が進展している。2)と3)は、どの程度まで進めるのか再検討が必要となっている。
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