• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

死にゆく人の語りとスピリチュアリティに関する臨床社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17530358
研究機関筑波大学

研究代表者

奥山 敏雄  筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 教授 (90201996)

キーワード終末期医療 / 死にゆく過程 / 語り / スピリチュアリティ / スピリチュアルケア / 共在価値
研究概要

終末期医療は、死にゆく過程を主に心理的過程を中核とするものとして対象化することに基づき、その過程への医療的ケアを加えてゆくものと理解することができる。死にゆく人の語りを手がかりに、終末期のケアが死にゆく人の経験をどのように型どるのか解明することを目的に、特にスピリチュアルケアについて以下のような分析を行った。
スピリチュアルケアは、終末期医療のアイデンティティの根幹をなす重要な意義が求められるにもかかわらず、死にゆく人の主観的世界へ介入する際に、死にゆく人のまなざしを自己実現という形で自己の内部へと向かわせる方向性と、逆にまなざしを自己の外部へと向かわせることにより自己への固着を手放し自己超越へと向かわせる方向性とが、ケア従事者に無自覚なまま混在している。これら矛盾する方向性に無自覚なまま、「傾聴」「共感」「受容」というコミュニケーション・スキルとしてスピリチュアルケアが実践されるが、それにより死にゆく人を取り囲む解釈共同体の形成につながり、「良き死」という特定の型の死にゆく過程が規範化されることにつながる。
このような型どりに陥ることのないスピリチュアルケアの可能性を模索するために、次の点を明らかにした。死への直面がどのようにして自己を超越した世界とのつながりや、自己と他者とのつながりを先鋭化させるのか、そうしたっながりによって見出される生の意味について、自己実現的な能動的な意味と受動的・受容的な意味とが区別されること、死にゆく人の傍らに止まり続けることがどのようにして自己に固着するまなざしから自己超越的なまなざしへの転換を促すのか、この転換によって見出される受動的・受容的意味は共在価値として理解可能であり、能動的意味の追求が不可能になった状況においても、死にゆく生の不条理からかろうじて死にゆく人を救い出しうるのではないか、これらについて明らかにした。

研究成果

(1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] スピリチュアルケアとまなざしの転換2007

    • 著者名/発表者名
      奥山敏雄
    • 雑誌名

      社会学ジャーナル 32

      ページ: 17-37

URL: 

公開日: 2008-05-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi