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2007 年度 実績報告書

死にゆく人の語りとスピリチュアリティに関する臨床社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17530358
研究機関筑波大学

研究代表者

奥山 敏雄  筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90201996)

キーワード終末期医療 / 死にゆく過程 / 語り / スピリチュアリティ / スピリチュアルケア / 共在
研究概要

終末期医療の中核をなすものは、死にゆく人の意味喪失へのケアとしてのスピリチュアルケアである。だがこれまでのスピリチュアルケア論やケア実践を見ると、自己実現的な意味の追求ヘのケアが中心であり、身体の衰弱などによって自己実現的意味の追求が不可能になった人の意味追求については、十分に射程に収めることができない。
そこで、意味の次元を自己実現的な能動的な意味と、他者との関係の内にのみ存在する自己、換言すれば、他者と存在を共にする自己への自覚という受動的・受容的意味とを区別する重要性を明らかにした。その上で、死にゆく人の語りを分析することを通じて、受動的意味への気づきが促されるプロセスと、そこではたらく要因を検討し、以下の点を明らかにした。死の切迫により言語水準、身体水準で自己への固着を解体させる力がはたらくこと。だが、身体と身体との<あいだ>あ共鳴、それを基盤として成り立つ、他者の苦しみに無関心ではいられない<傷つきやすさ>ゆえに、絶対的に隔絶している自己と他者が、否応なく引き込み合い、この間身体相互作用により、死にゆく人が<今ここ>に繋ぎ止められ、究極的な自己解体を免れうること。そこにおいては、自己と他者の役割存在的意味が脱落し、特定の「だれ」を超えた存在として、死を介して自己と他者が無媒介に接してしまうのであり、自己実現的意味に固着する方向からまなざしが転換し、自己を超えだ世界、自己と他者の生を俯瞰する世界へとまなざしが至り、<存在を共にする>という存在の位相が照らし出され、そこでまなざしは反転し、<今ここ>での出会いに、この存在の位相が写し込まれることになること。こうして隔絶した自己と他者が必死につながろうとする<今ここ>の一刹那の内的充溢が、不条理や無意味から死にゆく人を救い出しうるのであり、スピリチュアルケアの最深部はここにあることを明らかにした。

研究成果

(1件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 死にゆく過程における根源的受動性への気づき2008

    • 著者名/発表者名
      奥山敏雄
    • 雑誌名

      社会学ジャーナル 33

      ページ: 21-40

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公開日: 2010-02-03   更新日: 2016-04-21  

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