(1)テーマに関するマクロ要件の分析 国の近時の情報政策とそこに見られる国の自己評価について再整理するとともに、ITスキル標準の検討、IT技術者の賃金動向について整理した。 (2)特定地域の情報サービス企業などへのインタビュー調査 すでに進めつつあった浜松におけるIT関連職従事者へのインタビュー調査を整理し、本研究のメインテーマである、SE職務に要請される「コミュニケーション能力」の内実について第一次的分析を行った。その成果は、「現代日本のIT関連職務の性格と職務能力の方向性-IT関連職務に求められる「コミュニケーション能力」とは何か?-」として報告するとともに研究ノートとしてまとめた。そこでは、一方でITスキルが国際的に標準化されつつ日々進歩していることへの対応と、他方でこれまでの組織領域・慣習を超えて進められているシステム形成のために、新たな領域での関係者とのコミュニケーションの実現が待ったなしに求められている様相が明らかとなった。 また、2005年度より、「個人情報保護法」が施行され、IT関連職従事者は、これまで以上の新たな職務上の緊張を強いられるにいたっている。これに対して、IT関連職従事者にとっての同法の意味を探るべく基本的事態を検討した。その成果は『個人情報保護法』に対する企業の対応の特徴と個人情報保護問題の社会的意味」として日本社会情報学会大会で報告した。またこの視点に基づき、名古屋市職員の対応についてアンケート調査を行い、240ケースの回収を得た。その成果は、一次集計をまとめるとともに現在レポート作成中である。 (3)理論的検討と整理 現在IT関連職従事者の職務変容に現れている問題を、より巨視的に整理・思考するため、A.トフラーやポスト構造主義の情報社会分析を検討し、現代日本の情報社会としての深化と労働世界の様相について考察している。この成果は近々公表する予定である。
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