研究課題
基盤研究(C)
シカゴ学派のモノグラフの再検討を通じて、逸脱理論を構築するのが本研究の目的である。取り上げたテーマは「移民と逸脱」「都市コミュニティの社会解体と逸脱」「ビジネスとしての逸脱」である。これらは「社会解体論」として共通に研究できるが、明になった点は以下の点である。1.いずれの社会的世界の逸脱も社会解体と再組織化の中で起こる現象である。2.社会解体は都市の特定の空間に集中して生じるが、それにはマクロな社会過程が関連している。その過程では都市化・市場化・産業化のみならず、政治過程(住宅・土地政策や人種偏見によって貧困層や逸脱者を特定地域に隔離)が重要である。3.社会解体の進んだ地域や業界では、共通の価値や規範が弱く、社会的コントロールの作用も弱いことに加えて、その世界に暮らす行為者は日常生活や職務上の問題状況に直面していることが多い。4.行為者は直面している問題状況を解決するために自らの社会的世界の再構築を試みる。そのひとつの手段として逸脱行為が選択される。逸脱する方が合法的行為よりも問題解決に有効で手っ取り早いことを経験することで、逸脱は彼らの日常活動の一部に組み込まれるようになる。5.逸脱を組み込んだ生活が持続するには、社会的ネットワークの構築や彼らに有利な法環境が必要となる。とりわけ非合法なビジネスの場合、統制者や政治家との癒着、逸脱者同士の平和共存のためのネットワークの構築が重要となる。6.合法的行為よりも逸脱によってもたらされる利益が少なくなったり、ネットワークが解体したときに、逸脱の継続は困難になる。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
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