今年度は、研究のまとめの年度として、まとめに必要な文献資料の収集ならびに図書の購入を行うとともに、17年度、18年度の研究成果をもとに、補助者の協力を得て研究テーマのまとめ作業を遂行した。 まとめ作業は、研究全体の研究方針である序説をはじめとして、離婚紛争の原因に関する2つの章、「離婚紛争の発生因」と「離婚紛争の発生基盤」、離婚紛争の処理手続に関する3つの章、「協議による紛争処理」「調停による紛争処理」「裁判による紛争処理」、離婚紛争の処理にかかわる今日的課題に関する3つの章、「弁護士と離婚紛争」「DVと離婚紛争」「DVとDV防止法」、離婚紛争にともなう処理課題に関する2つの章、「離婚紛争と離婚給付」と「離婚紛争と子ども」、そして、アフター・ディボースの問題として、「ひとり親家庭の生活問題」の10テーマと、結論部である終章からなる。 3年間の研究によって、離婚紛争の発生から終結、さらにはアフター・ディボースに至る全過程の理論的実証的研究をまとめることができたが、こうした研究を通じて、離婚における男女格差-たとえば司法におけるジェンダー・バイアスや養育費確保制度の脆弱さ等-を鮮明にすることができた。別の言い方をすれば、日本社会の男女不平等な構造を離婚というプリズムを通して理論的実証的に確認することができた、といえる。
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