平成18年度は、「ケア労働者」を対象に、半構城的インタビューを行った。具体的には、現役の看護師2人(大学卒業後3年)、ホームヘルパー6人(男性3人、女性3人;キャリアの短い・中問・深い層を含めている)、合計8人に半構成的インタビューを行った。 インタビューのテーマとしては、「仕事(ケア労働)を通して経験される大変さと喜び」「仕事(ケア労働)をめざしたきっかけ」「仕事(ケア労働)をするうえで得られるサポート」「仕事(ケア労働)をするようになって生じた心理上の変化」「自身の生活や人生に対する思い」「辞めたいと思ったこととその理由」「何故ふみとどまったか」等であった。 インタビュー・データは現在、(1)労働上のケア規範について、(2)労働ケア規範とケア役割へのコミットメントの関係について、(3)ケア労働者がケア役割と自己をどのように関連付けているか、といった視点から分析を行っている。またその際、昨年度行った、家族ケアラーのおかれた状況との比較に留意してデータ分析を行っている。 その結果、看護と介護のケアの種類によって、規範の認知の仕方、ケア役割へのコミットメントの仕方、自己とのバランスのとり方に差があることが示されている。この差が、何によるものなのか、報酬、労働環境、サポート環境、専門教育との関連について考察を行った。そこからは、ケア労働者の場合は、報酬が大きな意味を持ち、ケア労働者が提供するコミットメントに対して心理的報酬が得られない場合に、経済的な報酬による補償が得られれば職にとどまることがあるが、反対にそれが得られない場合は職を辞する心理状況に追い込まれていくこと等が示されている。
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