研究課題
基盤研究(C)
EUでは、「欧州社会モデル」にて提起された「知識社会への移行」と「社会的排除及び貧困との闘い」を軸に、「知識社会にむけた教育・訓練」「積極的雇用政策」「社会保障制度改革」に即して各種の政策展開が進行してきた。しかしこれらは、「第三の道」批判の諸論を見ても明らかなように、ヨーロッパが蓄積してきた社会民主主義の成果であると同時に、新自由主義的な発想との親和性も有している。本研究代表者は、この点に着目しつつ、EUモデルが、それぞれの地域社会の中で、どう具体化されているか、またその具体化の中で、上記の矛盾がどのように処理されているかを研究課題として設定した。フィールドとしては、イタリアに着目した。イタリアではEUの決定を受けて、「貧困と社会的排除に抗するナショナル・アクション・プラン三力年計画(2003年〜2005年)」を発表している。この報告書では、絶対的貧困層や高齢独居が近年増加傾向にあること、所得配分、雇用保障の地域間格差が依然著しいこと、障害者、移民、ホームレス、子どもたち等において、リスクが顕在化しやすい現状が指摘されていが、その中で、これら「貧困」と「排除」の克服に際して、「非営利セクター」の役割が強調されている。このことは、一面では福祉・教育・文化・環境といった生活領域における公共的分野からの、国家の撤退を意味するが、もう一面では、上記の分野に対する、市民社会の側からの「担い、創り、変える」行為の蓄積を促す結果にもつながっている。以上のことは、現在、日本が抱える様々な問題とその解決手法を検討していく際、多くの示唆を含むものと考えられる。本研究では、日本との比較研究という意図のもと、日本における若干の言及も行ったものの、本格的な比較研究に達することがかなわず、この点が積み残しの課題となった。引き続き、今後の研究課題としたい。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (11件)
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