研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、血縁のない親子が「血縁なき親子関係をつくるネットワーク」の中で、家族関係を築いていくプロセスを明らかにしたものである。具体的には、次の2つの研究を行った。(1)予期せぬ妊娠に悩む母親の支援と子どもに恵まれない夫婦への養子縁組の援助を目的に設立されたNPO団体におけるフィールド研究を通して、その活動内容を概観し総括するとともに、養子を迎えた育て親家庭が血のつながりを超えて真の親子関係を構築するために必要な要件を検討した。また、多くの育て親が「テリング(子どもに産みの親の存在を伝えること)」、「産みの親との関わり」、「コミュニティ」において共通の課題を抱えていることから、育て親全員に対して質問紙調査を行うとともに、一部の育て親に対するヒアリング調査を実施した。とりわけ、子どもに対するテリングや育て親家庭にとっての産みの親の位置、具体的な産みの親との関わりについての明らかにした。(2)このような産みの親に育てられない子どもの命を扱う民間団体が、孤立無援に活動していることの問題点を指摘するとともに、他の養子あっせん団体(民間)の現状把握を行った。具体的には、全国の民問養子斡旋団体、ならびにこれを監督する自治体に対してヒアリング調査を実施し、児童相談所を初めとする公的機関との連携関係を広く検討した。さらに、日本の現状を相対化するために、諸外国(アジア)における養子あっせんにおける官民のネットワーキングについても予備的な調査を行った。以上を通じて、親に育てられない子どもにおいて、産みの親の存在が占める位置、ならびにより広く日本社会や児童福祉行政が抱える課題について、社会学的身体論や私的所有論の立場から、理論的考察を行った。
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