本研究は、戦前期の沖縄におけるハンセン病問題をめぐる社会的現実の諸相について、沖縄愛楽園入園者からの聞き取りと、当時の沖縄社会の世相を示す記録・資料およびハンセン病問題に関わる新聞記事・手記・自伝とをつきあわせながら、実証的・理論的に解明するものである。本研究を通して、当時の沖縄本島の罹患者たちは、最終的に医療行政からもシマ社会からもみなはされ、行路病死する危険性を掴まされていた。そのために、沖縄では何らかの保護施設の構築が必要であったが、沖縄懸はその構築にしばしば失敗したために、当時のハンセン病患者に窮乏が差し迫っていた。本研究を通して、以上のことを明らかにした。
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