研究課題
本研究では、社会学で生まれ言語学、認知科学、テクノロジー研究など新しい学際的領域で応用されつつあるエスノメソドロジーの方法論的再検討を目的とした。その際、近年、エスノメソドロジーの方法論として注目されつつある(1)語用論や機能言語学などとの融合がすすむ「会話分析」、(2)L.Wittgensteinなど言語哲学の成果を取り入れた「論理文法(logical grammar)分析」、(3)フィールドワークなどを活用して社会的記述の分析を行う「(成員)カテゴリー分析」という3つの分析方法論を、会話分析を生み出したH.Sacksの初期発想にさかのぼることにより、エスノメソドロジーを再検討しフィールドワーク・質的社会調査への応用可能性を見いだすことを中心に検討した。今年度は、(1)については、会話分析の方法論に関して、要素還元主義とTurn Construction Unitとの関係を主軸に批判的解明を行った(日本社会学会大会発表)。(2)については、札幌市内の障害当事者運営の自立生活センターの協力の下でビデオ録画した、障害当事者による学生、社会人を対象とする介助教育(介助実習)の場面について、身体と行為の論理文法分析を中心に考察を行いOne Action with Two Bodiesとして発表した(国際エスノメソドロジー・会話分析学会)。(3)については、高次脳機能障害作業所のフィールドワークに基づく(成員)カテゴリー分析をCategories in transition and juxtapositionとして発表した(International Gesture Studies国際学会)。これらの研究は、互いに独立しているわけではなく、互いに連携・共振することにより研究が実施された。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
Interaction Bodies, Abstract of International Conference of the International Society for Gesture Studies 2
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日本社会学会報告要旨集 第78回