2005(平成17)年8月に開催された国際エスノメソドロジー・会話分析研究会(IIEMCA)大会において「How to make an unsuccessful claim in a Japanese classroom meeting」という論文を発表した。これは、「いまここ」の相互作用に照準するエスノメソドロジー・会話分析のアプローチを教室でのやりとりに適用し、その方法上の特質と制約を検討したものである。この報告を準備するために、日本語データセッションと成城大学経験研究会とにおいて発表し、有益なコメントを得た。現在投稿に向けての改稿作業中である。 追跡調査の対象である海外帰国子女が在籍した日本語補習授業校なぎさ学園(仮称)の元校長にインタビューを行った。海外帰国子女の「その後」について報告し、これについてのコメントを得ることができた。調査対象者本人が「わたしは変わった」あるいは「変わらなかった」と発言したときに、これを評価する基盤情報のひとつとなることが期待される。 「変わった」という発話の収集を目的として、若い女性3人組によるインタビューセッションを2回実施してこれを録画・録音した。学校の卒業アルバムや写真を持参してもらってそれを見ながら「おしゃべり」をしてもらった。だれかの外見・容姿が「変わった」という発話はいくつか見られたが、「考え方」や「性格」が「変わった」という発話はあまり見られなかった。これが「おしゃべり」の特筆であり、「インタビュー」状況とは違うということであるのかどうかについてはさらに検討が必要である。テレビのインタビュー番組ではどうなっているかを調べるために、NHK総合の『スタジオパークからこんにちは』と『徹子の部屋』の録画を行った。これについては、平成18年度もデータ収集(録画)を継続するとともに、分析を進める予定である。
|