世界諸地域、すなわち、中東地域、アフリカ地域、ラテンアメリカ地域、アジア地域を対象に、4つの項目に注目し検討している。(1)福祉・社会サービスの供給、(2)自文化・伝統主張の試みとNGO活動、(3)社会文化変動をもたらす要因検出、(4)世界諸地域関連映像デーの収集・整理である。 (1)福祉・社会サービスの供給に関しては、イスラム社会に伝統的に存在するワクフに注目し、アルジェリア、ヨルダンなどのイスラム諸国、また、アジアにおいてもマレーシャなどでのワクフ、ザカートの歴史的な機能を検討した。フィリピンのモロ地域におけるイスラム浸透とザカート、ザカートを用いたイスラム教育の展開にも注目し、今日的な課題であるノン・フォーマル教育の展開などを検討し、タイ南部のムスリムとの比較を試みた。(2)自文化・伝統の主張に関しては、タイ北部とミヤンマー地域に居住するモン族の教育支援を進めるタイ北部の国際NGO活動などに注目し、ミヤンマーとの国境に広がる諸関係を分析した。同時に、タイ北部に居住するアカ族について、従来から注目しその一部を『旅する人の地域研究』でも記述したブランコ祭りを実際に観察し、タイ政府の少数民族文化今の対処と祭りにおいて住民が参加する様子を確認した。(3)文化社会変動をもたらす主要な要因を考察するに際して、ストリート・チルドレンの発生・増加を分析する図式などを検討し、個別の事象をもとに、わかりやすく他の地域においても利用できる分析図式をいくつか用意した。(4)映像データの収集に関しては、上記のように、タイ北部のマイノリティに関するもの、また、アジアとアフリカ空の人々の流入が歴史的に生じ、死者に対する独自な文化を現在も維持しているマダガスカルにおいて映像データを収集した。
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