本研究では、多様な形態をとるテレワークのうち、国内において、ある程度まで普及浸透が確認されている(1)在宅ワーク型(2)在宅勤務型(3)SOHO型(4)モバイルワーク型の4類型を対象とした調査研究を、行う予定である。 初年度である平成17年度は、主に在宅ワーク型を対象とした調査活動を実施した。在宅ワーク型については、すでに平成11〜13年度の科学研究費を受けた研究に際して、アンケート調査を実施ずみである。そのため今回は、前回調査の回答者に対して、再度アンケートを行うかたちで、パネル調査を実施した。在宅ワーカーを対象とした継時的アンケートは、ほとんど前例がなく、その意味でもパネル調査は一定の価値を持つと予想された。 調査結果からみる限り、在宅ワークの業務内容や労働条件といった側面については、3年間で、顕著な変化は認められない。他方、在宅ワーカーたちの意識面での変化は小さくない。不安定な仕事量と低賃金に関しては、ある種のあきらめが定着していく一方、在宅ワーカーとしての仕事が、少なからず家庭生活を阻害していると意識されるようになってきている。同種の業務を繰返し受注することによって、仕事への自信は深まるが、自己啓発が必要という意識は薄れて行く。回答者たちにとって、もはや在宅ワークは目新しい労働形態の段階を抜け、日常的な生活手段に変化しつつあるかのようである。 継時的調査の有効性が確認された一方、3年間という期間を経た後の再調査となったため、回答者数の目減りが著しい。本研究では最終年度に、3度目の調査を予定しているが、一定の回答者数を確保する目的で、新たな回答者を対象としたアンケート調査を実施し、その結果の分析を行う計画に着手している。
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