本年度は、主として質的データの収集を目的とした在宅勤務型テレワーカーおよび在宅ワーク型テレワーカーを対象としたインタビュー調査を実施した。 まず、在宅勤務型テレワークは、一日の勤務時間のうち、半日や数時間程度を自宅で働く形式の労働が主流である。このような労働は、在宅勤務の一般的イメージとは異なり、通勤の縮減を実現するものではなく、むしろ社員のワークライフ・バランスを重視した福利厚生型の制度として活用されていることが判明した。 他方、ごく少数であるが終日を在宅で勤務する型の在宅勤務従事者にも、インタビューを行った。回答者となった在宅勤務者は、全員が高度な専門職に従事する人々であり、業務内容も独立性が高い。このことは、業務に支障なく終日型在宅勤務を実施することが可能な職種は、相当程度に限定されることを暗示している。 在宅ワーカーを対象としたインタビューからは、おおむね昨年度以前に実施したアンケート調査を補強する結果が得られた。どの回答者からも、在宅ワークの実態が長時間・低賃金労働であるとの証言を得た。労働条件の悪さにもかかわらず、在宅ワークの継続を希望する人々を支えているのは、「子供のそばで働きたい」という母親の強い願望である。
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