平成19年度は実施計画にそって、おもにモバイルワーク型および在宅勤務型のテレワーカーを対象としたインタビュー調査を実施した。 モバイルワーク型テレワーカーについては、製薬会社のMR(医薬情報担当者)たちに比較的長時間の面接調査を行った結果として、以下の事実が判明した。モバイルワーク制下においては、労働の場として第三空間がさかんに活用されるものと考えられてきた。現実のモバイルワークにおいても、第三空間は頻繁に活用されているが、その一方で、在宅労働もかなりの時間におよぶ場合が大多数をしめた。 その原因は、主として2点に要約される。(1)モバイルワーク制移行と同時に営業所を廃する例がみられ、そのような場合は事務作業の専任者が極端に消滅されるため、本来営業系職種であるモバイルワーカーの事務作業分担が増加する。(2)顧客データ等の情報流失を避ける目的で、モバイルワーカーたちの雇用主である企業が、オフィスおよび自宅以外での事務作業を制限するケースが増加した。 在宅勤務型テレワーカーについては、前年度以前の報告どおり、数日間続けて在宅で勤務するような働き方はほとんどみられず、部分在宅勤務型または不定期在宅勤務型が主流であることが確認された。また在宅勤務制導入の目的に関しては、労働能率の向上やオフィス費用の削減といった経営的効率的なものから、社員のワークライフバランスを支援するといった福祉的なものに変化していく傾向がみられた。
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