研究課題/領域番号 |
17530407
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研究機関 | 熊本学園大学 |
研究代表者 |
羽江 忠彦 熊本学園大学, 商学部, 教授 (30084271)
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研究分担者 |
天田 城介 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (70328988)
花田 昌宣 熊本学園大学, 社会福祉学部, 教授 (30271456)
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キーワード | ハンセン病 / 個人史 / 歴史 / 台湾 / 沖縄 / 当事者 / ライフ・ヒストリー / 戦後 |
研究概要 |
本研究では、台湾ならびに沖縄のハンセン病療養所におけるハンセン病当事者の個人史と、当該社会におけるハンセン病の歴史性を、社会学的に解読することを基礎とする。これによって「台湾」あるいは「沖縄」という社会的一地政的位置において、いかにして差別や抑圧の構造が作り出されてきたのか、あるいはその権力構造の只中でハンセン病当事者たちはどのように抗ってきたのかを明らかにすることを目的とする。歴史的史資料を参考にしつつ、ハンセン病当事者たちの生活世界における個人史を、つまりはこれまで証言されてこなかった《歴史》を聞き取り、読み解くことを最大のねらいとした研究である。 本年度、平成18年度は、前年度に作製するに至った「ハンセン病をめぐる年表」(熊本学園大学付属社会福祉研究所発行『社会福祉研究所報』34号)を用いつつ、ハンセン病問題に関連する資料の収集と分析を進めた。また、より多くの入所者からの聞き取りをすべく、桑畑洋一郎(九州大学大学院比較社会文化学府・博士課程)、境野健太郎(京都大学大学院工学研究科・博士課程)の両名を加え、資料の収集と分析を進める態勢をとった。 台湾と沖縄の両療養所における入所者の聞き取りによって、沖縄・愛楽園軽快退所者、在宅通院治療者からの、聞き取りの手がかりをつかむに至った。沖縄復帰前、米軍治世下で終生隔離主義を否定、緩和したハンセン病者の処遇が始まり、現在まで継続している。この軽快退所者、在宅通院治療者の生活史、その現実の本格的な聞き取りを、平成19年度の課題とするに至っている。 沖縄に散在する軽快退所者、在宅通院治療者の聞き取りは、入所者のそれに較べ出会いの実現それ自体に、相当の困難をともなう現状である。これを通して入所者はもちろん、軽快退所者、在宅通院治療者に対する「見下しの偏見・差別」の未解消という現実を確認した。沖縄と本土の、そして台湾の現状は異なるであろう。より充実した聞き取りで、次年度の成果を得るべく努力をしたい。
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