本年度は引き続き福祉NPOの連合組織の設立の経緯やその活動の様子について聞き取り調査等を行うとともに、類型化のモデル検討を行った。阪神地区(まちづくり関係)と関東地区(子育て支援関係、障害者支援関係)に焦点をあてて調査を行った。阪神地区では地域でのNPOのネットワークを生かし「防災から減災へ」へという取り組みがされていることが明らかになった。また関東地区では、当事者を中心として支援NPOがネットワークを生かすことでより大きな課題に取り組んでいる様子が明らかとなった。また、移動サービスという限定された領域を取り上げ、NPOのネットワークやNPOが公私パートナーシップやローカルガバナンスに果たしている役割について考察を行い、論文として発表し、現状の分析から、NPOやNPOのネットワークをソーシャルキャピタルとして生かしていく前提条件として、地域における企業や行政との間の相互の信頼が醸成されることが必要であるとの結論を得た。 海外については、中国・上海での現地調査を行い、中国の障害者連合会の活動および市行政との連携について資料収集を行った。中国の障害者連合会は半官半民の障害者サービス提供組織であり、日本でいうところの障害者の自律的な支援組織とは異なること、また行政との結びつきは強いが各都市間の連携はあまり行われていないことなどがわかった。また近年大きくなってきている民間組織の役割についても調査を行った。昨年行ったシンガポールとの比較を今後論文発表等を行っていく予定である。
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