研究概要 |
本研究では、まず、連合組織に関わる理論的な枠組みについて考察し、連合組織の主たる役割として中間支援型、アドボカシー型、フランチャイズ型の三つを抽出し、モデルとなる組織について、成り立ち及び活動の経緯や課題を整理した。また、地域の移動困難者を対象とする移動サービスに関わる、規模や目的が多様なネットワーク組織の役割と課題、メンバー組織の参加意識,地区社会福祉協議会設立に向けた地縁型NPOである自治会活動の展開、阪神・淡路大震災から現在に至る神戸での取り組み、シンガポールの政府とNPO連合組織の関係などに着目していくつかの調査を行い、連合組織や福祉NPOの現状および活動上の課題等について整理した。 連合組織は外部環境、とくに行政との関係に影響を受けやすく、組織としては不安定で変化していくものである。また連合組織内のメンバー組織間の関係は連合組織の運営に影響を受ける。福祉NPOが連合する目的としては、共通の価値の追求、競争コストの削減、資源の安定的確保、ボランタリーの失敗の克服などが考えられるが、このような様々な目的を果たすためには、連合組織及び参加メンバー組織の意思決定が重要となってくる。また、連合組織としての自律性と参加メンバー組織の多様性の確保の両立が困難なこともあり、連合組織のメンバー代表としての正統性が問われる。今回は主として、活動実態と活動上の課題に焦点をあてたが、今後は、NPOにおけるリーダーシップ、連合組織と参加メンバー組織との運営面での連携のあり方、また広くNPOと行政との関係についてさらに検討する必要がある。
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