研究概要 |
本研究は多世代が共存・協力するコミュニティを創出し、日本にインタージェネレーションを定着させるための諸課題を明らかにすることを目的としている。本年度は、以下の点を中心に研究を実施した。 1.理論研究としては、参加者の世代と交流の方向性による世代間交流活動の分類基準ばかりではなく、より価値ある交流プログラムを作成するための分析枠組みを考案するために、世代間交流における関与の深さや交流の質を示す指標、交流活動の類型化、目標と効果の測定といった先行文献を収集し、整理した。 2.日本の学校におけるインタージェネレーションの情報や事例を収集・検討した。特に地域住民による活動が活発な学校や、高齢者福祉施設が併設・合築された学校への実地調査を行った。 3.全国1,000箇所の自治体を対象に、学校における世代間交流活動の実態を調査した。 これらの理論的・実証的研究から明らかになったのは(1)学校での世代間交流活動は、ある程度定期的に実施されてはいるものの、高齢者の知識や技能を生かした支援が中心であり、情緒的サポートを主目的としたプログラムはきわめて少ない。(2)交流相手である子どもを理解するための事前学習や研修の機会は明確に位置づけられていない。(3)世代間交流活動の活動主体間格差は依然として大きい。交流の目的と活動内容とを関連させ、効果を検証する方法の開発が必要である。 平成18年度には、本年度に得た知見や成果を部分的に日本家政学会、International Consortium for Intergenerational Programmesおよび世代間交流国際フォーラムにて報告する。また複合施設における世代間交流活動について詳細な調査と分析を進めるとともに、日本における中年・高齢者による青年、子ども、障害者に対する支援プログラムと研修プログラムを作成する予定である。
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