研究分担者 |
橋本 美枝子 大分大学, 教育福祉科学部, 准教授 (90315309)
滝口 真 西九州大学, 健康福祉学部, 教授 (20258635)
黒木 邦弘 熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (60369832)
端田 篤人 長野大学, 社会福祉学部, 講師 (80387422)
植田 寿之 梅花女子大学, 現代人間学部, 准教授 (00319394)
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研究概要 |
本研究は,50名のソーシャルワーカーの協力により事例提供(100事例)を受け,かつ,それに関する語りを通してソーシャルワークの固有性を可視化するとともに,ソーシャルワーク自体の存在価値の証明を目的としている。 本研究では,次のような特徴的な研究方法をとった。すなわち,(1)ソーシャルワーク実践の7次元統合体モデルの検証,(2)語りの質的分析,(3)(2)によるカテゴライズされた論理の量的分析をそれぞれ実施するとともに,(4)(1)〜(3)の異なる研究方法を連結,交差させて分析を行うものである。このことにより,ソーシャルワークの事象から本質的な独自の固有性の可視化,事実を見出す新たな研究方法論を示すとともに,新たな事例研究方法の開発や事例分析手法のモデル化を果たすことを可能にする。 結果として,次のような主要な点をあげておきたい。 (1)本研究からは,ソーシャルワークの存在価値の論証と実証の可能性を大きくした。特にソーシャルワーカーの実践によるソーシャルワークの生成,成立の機序,随伴して固有性が生成される機序が明らかとなった。 (2)ソーシャルワークらしさという固有性の可視化が実現し、固有性を象徴的に示すことができた。例えば、(1)視点:多元的システムの境界介入実践と滋養的環境の創出,(2)価値:代弁的調整,人間存在の畏敬を基盤的価値とするLife Protection(生活を守る:人間存在の守り),(3)機能:利用者の近未来像を描き(=生活予測),生活危機防止のための戦略的な巻き込みとしての仕掛け,があげられる。 (3)仮説的構成概念としての7次元統合体モデルを論理的に実証できた。 (4)研究方法の(1),(2)の交差分析の有効性や新たな研究方法論を見出した。 (5)事例の多角的分析手法の定型化が可能になった。 (6)課題として,量的分析に関しては全事例数の分析には至らなかったため,可能性の示唆にとどまり課題を残している。しかし,量的分析を交差させることにより語りの論理的な意味づけについての実証可能性を示している。
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