1、日本における二次的トラウマティックストレス(STS)への理解と活動内容に関する検討 被虐待児を養育している児童福祉施設内の職員に対して面接調査を行い、日本におけるSTS、バーンアウトの実態と対応の活動内容について調査・検討を加えた。その結果、職員のストレスはきわめて高く、バーンアウトによる退職者などを出してしまっている施設もあり、早急な対応が必要であることが見出された。 2、STS評定尺度の標準化 STS評定尺度である「共感満足・共感疲労尺度」の日本語版の標準化を試みた。尺度開発者(フィグリー教授ら)の意見も取り入れながら、完成訳を作成した。次年度大量データによる多変量解析を行い、日本語版の標準化を行う予定である。この尺度を用いることで、STSの初期アセスメントを効率化することが可能になると考えられる。 3、STSに対する活動の日米比較及びアメリカのSTS対策プログラムの導入 フィグリー教授の、アメリカにおけるSTS対策プログラムの研修に参加し、ピアサポートなどを含めた様々な支援技法を詳細に検討する機会を得た。さらに、STS・バーンアウト対策に果たす役割を特定化しながら日本において実践を試みる。 4、児童養護施設における職員へのSTS援助プログラムの作成 これらは現在行われている施設管理者やコンサルテーションの専門家などによる職員への支援・対応を補完するものである。研究代表者である藤岡が関わっている児童養護施設で、STSの評定を行なった。その結果、バーンアウトリスクの高い職員はいないものの、共感疲労の高いリスクを持った職員は複数おり、共感疲労がバーンアウト対策のおける予防的な役割を果たす可能性が見出された。今後さらに、個別ケアを含めた日本独自のSTS対策の構築を試みる。
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