研究課題
基盤研究(C)
本研究は、社会資源の限られた条件不利地域(中山間地域、離島など)において、住民の定住を可能にするための福祉をどのように整備するかを検討することである。そのために、市町村を単位とした福祉経営を福祉ガヴァナンスの形成という視点からとらえ、その方法を検討するとともに、その評価指標の設定を検討した。具体的には、山形県最上町をフィールドとして、地域福祉計画の策定から進行管理の過程をアクション・リサーチの方法を用いて継続的に介入し、福祉ガヴァナンス形成に向けた介入のインパクトを実証することを試みた。最上町の地域福祉計画策定開始の2003年度から5年間にわたって継続的なアクション・リサーチを実施した結果、5年間に同町内には、集落を核とした任意団体による町おこしの事業や、農業を再生するための株式会社の設立、NPOによる子育て支援サービスの開始など、新たな住民の活動開始されたことは成果であったといえる。策定前の最上町の福祉は行政と社会福祉協議会によって担われており、提供される福祉サービスは国の制度の下に提供される画一的なサービスにとどまっていた。しかし5年間の間には、NPOではニーズに合わせた子育て支援サービスが提供されたり、地域の高齢者による自主的な健康づくりの活動が展開されたりするなど、制度外のサービスが提供されるようになってきている。以上の結果、福祉ガヴァナンスの形成には、地域福祉計画の策定を道具として活用することが有効であることが実証されたといってよい。計画策定の経験を有効な方向に導くためには、計画策定過程を担うコーディネーターやファシリテーターの存在が重要であり、今後これらの人材を養成することが福祉ガヴァナンス形成の課題であるといえる。政策評価の指標としては、ソーシャル・キャピタルの指標を用い、策定前の調査を実施済みである。今後、計画実施後の調査を行うことによりその有効性を確認する必要がある。
すべて 2007
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Livelihood Support for Social Welfare, Yuhikaku
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