ケアマネジメントでは保健・医療・福祉分野の専門職が多職種チームを構成してチームアプローチでサービスを提供する。しかし、チームアプローチの重要性の指摘に比べて、実際にチームアプローチを向上させるための取り組みは大きく遅れている。介護保険法で制度化されたケアマネジメントの場合、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上は、介護支援専門員実務研修および介護支援専門員現任研修において行われ、平成18年度からは主任介護支援専門員が創設されるなど様々な取り組みが行われている。それに対して多職種チームという集団が機能するための具体的な取り組みはほとんど行われていない。本研究は、欧米、特に米国で行われているチーム研究およびチームトレーニングに関する研究を援用し、ケアマネジメントを行う多職種チームのチームパフォーマンス向上に資する、チームトレーニング・プログラムを開発することを目的している。 チームトレーニングとは、チームワークに関する教育を統合的に行うために、各種ツールや教授法及び教育内容を一つにまとめたものであり、その教育内容がチームコンピテンシーである(Salas et al.2001)。チームコンピテンシーは、知識(Knowledge)、技術(Skill)そして態度(Attitude)の3次元から構成され、それぞれに複数の項目が設定されている。チームコンピテンシーについては重要な概念であるにも関わらず、我が国では一部の専門家を除いてほとんど知られていない。また、元々は保健・医療・福祉分野の研究ではないため、多職種チームに援用するには我が国のチームアプローチの実情に合わせたプログラムを作成する必要がある。研究は平成17年度・18年度の2年間であるが、このような状況を踏まえて、平成17年度はチームトレーニングの具体的な内容であるチームコンピテンシーに関する教材を作成した。
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