研究概要 |
労働時間の長さと過重労働による健康被害については,直接的な因果関係が明確ではなかった。先行研究からは,勤務形態や作業の質,職場の人間関係,基本的な日常生活などによりかなり異なる影響が予測されてきた。 これまでの疫学的な調査では地元事業所に勤務する一般従業員を対象に,勤務形態の主効果が,就床・起床時刻,睡眠時間,食事の不規則さや運動量の違いに関して認められ,就床時刻で不規則群が日勤群に比べ有意に遅く就床していることなど確認してきた。そこでは,SDS(抑うつ度)を指標にしてきた。 18年度は,交代制勤務者のサンプル数を確保するため,専門職に焦点を当てた調査を実施した。このため,より一般的な健康生活状況をとらえるためGHQを指標とすることとし,多業種・多職種に共通して比較できるようにした。結果は,これまでのような就床時刻による違いが明らかにならなかったが,専門職に特有の職務要因や寝つきの悪さが問題となった。特に,職業発達に関する側面や職場組織といった社会心理的な要因との関連が示唆された。物理的労働時間との関連が確認されなかったことは,これまでと同様であった。 現在,さらに協力承諾者を募り,メンタルヘルスをはじめとした健康被害について,生活・睡眠のパターンのより具体的な実態を明らかにするため,活動量記録装置(Actiwatch-L)を用いて,活動パターンの記録を進めている。これらの結果とともに全体的なフィードバック効果の測定と,ハイリスク群への介入(光照射装置と眠表記録を用いたコンサルテーション)を計画している。
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