本研究の目的は、「異文化への適応能力」および「異なる文化背景を持つ人々との効果的な相互作用能力」を包括的にとらえる概念として「異文化間コミュニケーション能力(Intercultural Communication Competence : ICC)」を提案し、ICCを測定するための尺度の開発を試みることにある。 平成17年度は、ICCを構成する要因を明らかにするために必要となる基礎的データの収集と分析を目的に、日本とアメリカで実施する調査に用いる質問紙の作成、および調査実施のための準備を主におこなった。具体的には、先行文献をサーベイすることにより、これまでどのような要因がICCと関連付けられ研究されてきたのかを明らかにし、そこから浮かび上がってきた要因を数値化するための質問項目の選定・作成をおこなった。 日本国内の調査協力者に対して、調査協力の依頼と承諾を得た。その際、調査協力者と質問紙に含まれる項目についてディスカッションをおこない、適宜項目の変更・削除・追加をおこなった。アメリカでの調査協力者については、当初予定していた米国人研究者が死去したため、新たな調査協力者の選定と依頼をおこなうため、2006年3月に渡米した。加えて、海外に長期に滞在している日本人に対して調査を実施するため、アメリカのケンタッキー州にある日本人補習校の校長に対して調査協力の依頼をおこない、承諾を得ることができた。 その後、アメリカ人の調査協力者の協力のもと、長期滞在の日本人中・高校生への質問紙の準備(質問項目の選定・英語の質問紙との翻訳の等価性の確認など)をおこなった上で、適宜質問紙の配布・回収をおこなった。同様に、日本人大学生および米国人大学生からのデータについても、それぞれ調査協力者の協力により回収をおこなった。
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